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毎日使うタオルの歴史!世界での発展や日本の2大産地の歴史なども解説

2026/07/06

毎日使うタオルの歴史!世界での発展や日本の2大産地の歴史なども解説

毎朝の洗顔、お風呂上がり、キッチンでのひと拭き。タオルは一日に何度も手にするアイテムです。でも、その1枚に数千年の歴史が詰まっているとしたら、少し驚かれるかもしれません。

タオルの起源は石器時代のスイスにまで遡るという説があり、現代のふわふわした使い心地が生まれたのは19世紀のイギリスです。そして日本に渡ってきた当初は、体を拭くためではなく「マフラー」として使われていました。

本記事では、タオルがどのように生まれ、日本に根付き、今治・泉州という2大産地へと発展していったのか、その歩みを丁寧に解説します。普段何気なく手にしているタオルが、きっと少し違って見えてくるはずです。

世界のタオルの歴史は古代ローマから始まった

タオルの原型は、古代ローマの浴場やトルコの沐浴場(もくよくじょう)で使われていた布だといわれています。入浴後に体を拭いたり隠したりするために使っていた布が、現在のタオルにつながったのです。

ただ、実はもっと古くからタオルの歴史が始まったとする説もあります。例えば、石器時代のスイスでは、亜麻(リネン)を使った織物で体を拭いた痕跡が見つかっており、これをタオルの起源とする説があります。紀元前2000年の古代エジプトでは、お墓から織物が見つかっており、タオルには非常に長い歴史があることがわかります。

タオルの語源には諸説あります。スペイン語の「トアーリャ(Toalla)」、あるいはフランス語の「ティレール(Tirer)」が由来とされ、いずれも「湿気を拭き取る布」を意味しています。

近代のタオルは「手芸品」から始まった

このように、タオルの歴史は数千年以上前まで遡れます。しかし、当時のものは今のようなふわふわで気持ちよい使い心地のタオルとは異なる、平織りの固い布でした。

現在のタオルに近い「ループ状の糸を持つ織物」が広まるきっかけとなったのは、1850年頃です。イギリス人のヘンリー・クリスティーが、トルコでの旅行中にタオルの原型となる手芸品を見つけたことがきっかけとされています。

その手芸品は「ターキッシュタオル(パイル状のループを持つ織物)」と呼ばれており、ヘンリーは、ループ状に織られたこの手芸品に注目しました。帰国後、織物技術者であったサミュエル・ホルトに相談し、手織りの織機で生産を開始したことで、近代的なタオルの歴史が始まります。

「テリーモーション技術」による大量生産によって世界中へ広まる

サミュエル・ホルトが「テリーモーション技術」を開発したことで、タオルは急速に世界中へ普及していきます。
テリーモーション技術とは、独自の工夫で糸の張りに強弱をつけ、織物の表面にふんわりとした「ループ(パイル)」を作り出す製法のことです。このループがあることで、タオルは水分をしっかり吸い取り、ふんわりとした肌触りを持つようになりました。

手作業でしか作れなかったタオルが機械で大量生産できるようになったことで、一部の人しか手にできなかった高級品が、広く一般家庭に普及する日用品へと変わっていったのです。

日本におけるタオルの歴史は「首巻き」として始まった

日本に初めてタオルが輸入されたのは、明治初期の1870年代のことです。大阪税関の記録には「浴巾手拭2打、7円60銭」という品名が残っており、これが日本におけるタオルの始まりといわれています。
当時輸入されたタオルは、それまで日本で使われていた平たい「手拭い」よりもはるかに厚手で柔らかく、体を拭くためではなく、主に防寒やお洒落のための「首巻き(マフラー)」として使われていました。今では当たり前の日用品ですが、日本に入ってきた当初は、文明開化を象徴する少し特別な高級アイテムだったのです。

日本国内での生産の始まり

井上コマが手織り機によるタオルの製造に成功

1880年頃からは、タオルを日本国内で生産する動きが活発になります。この頃、大阪の井上コマが手織り機を使い、「輪奈(わな)」という形でタオルのループを作りました。そして、優れた吸水性や使い勝手が評価され、日本各地へタオル生産が広がっていきます。

国内初のタオル織り機が大阪・泉州で誕生

井上コマが手織り機でタオル生産を成功させた後は、1887年頃、大阪の里井圓治郎が、筬のテリーモーションを利用してパイルを作る「打出機」を考案し、機械によるタオル製造に成功しました。この出来事をきっかけに、大阪・泉州は日本のタオル産業発祥の地として発展していきます。

日本の2大タオル産地「今治・泉州」の歴史

日本のタオル産地として有名なのが、愛媛県の今治と大阪府の泉州です。どちらも日本のタオル産業を支えてきた地域ですが、発展の流れや製法には違いがあります。
今治タオルは、織る前に糸を晒して染める「先晒し」の技術を発展させてきました。一方、泉州タオルは、織り上げた後に洗い・晒しを行う「後晒し」の製法を大切にしています。
ここでは、今治と泉州がどのようにタオルの名産地として歴史を歩んできたのか、見ていきましょう。

各産地の詳しい特徴は、以下の記事で解説しています。

独自の品質基準を確立した「今治タオル」の歴史

今治タオルは、綿ネル製織に携わっていた阿部平助が、1894年に現在の今治市風早町に改造した織り機を設置することで製造をスタートしました。
今治タオルが発展する大きな転換期となったのが、麓常三郎(ふもとつねさぶろう)による「二挺筬(にちょうおさ)バッタン」の開発です。これは、タオルの両端を同時に、かつ効率よく織り上げることができる画期的な手織り機械であり、これによりタオルを効率よく生産できるようになりました。

続いて、縞反物製造業を営む中村忠左衛門が「先晒単糸(織る前に糸を晒して染める手法)」を活用してタオルを製造します。
糸の段階で色や風合いを整えることで、縞柄などを表現しやすくなり、今治タオルの強みである「高いデザイン性」と「柔らかな肌触り」の基礎が作られました。

こうしためざましい技術の発展に加え、今治独自の「不純物が少ない良質な蒼社川の伏流水」といった地域の環境も掛け合わさり、今治タオルは世界的に有名なブランドへと広がっていったのです。

日本発祥の地として後晒製法を守り続ける「泉州タオル」の歴史

泉州タオルの歴史は、1885年に大阪の舶来雑貨商・新井末吉が、ドイツ製のタオルを入手したことから動き出します。
新井末吉は、優れた吸水性などに着目し「日本でもタオルの需要が高まる」と考え、泉佐野の白木綿業者であった里井圓治郎に製織の研究を勧めました。

そして里井圓治郎は研究を重ねて、パイルを作るための「打出機」を考案し、1887年頃には機械によるタオル製造に成功しました。こうして大阪・泉州は、テリーモーションによるタオル製織を成功させて「日本のタオル産業発祥の地」として発展していきます。
1906年には、里井圓治郎を初代会長とする「佐野タオル共同会」が発足。1928年には「佐野タオル工業組合」が設立され、戦後を経て現在の大阪タオル工業組合へとつながりました。

泉州タオルは「後晒し」と呼ばれる製法で作られています。タオルを織り上げた後に、糊や不純物をキレイに洗い流す製法です。
この製法のおかげで、泉州タオルは使い始めから優れた吸水性を持っており、清潔で優しい肌触りに仕上げられます。

伝統を守りながら、未来へ向けた現代のタオルづくり

タオルの歴史を紐解くと、多くの先人たちの創意工夫によって、現在の「ふわふわで、肌に優しく、毎日使いやすいタオル」が生み出されたことがわかります。
近年では、タオル業界全体でサステナビリティへの取り組みが重視されるようになっており、日本有数のタオル産地である泉州でも、未来を見据えたものづくりへの挑戦が始まっています。

例えば、私たちヒオリエを運営する株式会社丸中でも、伝統的な泉州タオルの製法を守りながら、以下のような環境問題に対する取り組みを進めています。

  • 脱炭素への挑戦: タオル製造工程におけるCO2排出量の可視化
  • クリーンエネルギーの活用: 工場への太陽光発電の導入
  • 廃棄物の削減: 製造工程で発生した生地の端材(切れ端)を、強化プラスチックの原料として再利用

タオルは長い歴史の中で、時代ごとの課題を乗り越えながら発展してきました。現在の取り組みもまた、未来へ向けた新たな挑戦の一つといえるでしょう。

当社の取り組みについては、以下のインタビュー記事でも詳しくご紹介しています。
Sano L•A•B|40年来の機械と歩む、脱炭素への挑戦。老舗タオルメーカー「丸中」が切り拓く、日本製タオルの新しい景色。

普段何気なく使っているタオルも、その背景にある歴史やものづくりへの取り組みを知ることで、新たな魅力に気づけるかもしれません。

タオルの歴史を知り、いつもと違った視点で楽しもう

タオルは、古代の浴場文化で使われていた布を起源とし、イギリスでの技術革新によって現在のような吸水性と柔らかさを備えた日用品へと発展しました。日本では明治時代に伝わり、国内での生産技術の発展とともに、今治や泉州といった世界に誇る産地が育まれてきました。

現在のタオルは、暮らしの必需品として多くの人に使われています。吸水性や肌触りのよさはもちろん、さまざまな色柄やデザインのタオルも販売されており、用途や好みに合わせて選べるようになりました。

ここまでタオルが生活に根付いた背景には、長い歴史と多くの作り手の工夫が関わっています。本記事で紹介した産地の特徴や製法、歩みを知ることで、いつものタオルを少し違った視点で楽しめるでしょう。

執筆・監修 タオルソムリエ 奥英明

執筆・監修

奥 英明

ヒオリエ 商品部 部長 タオルソムリエ

タオル製造業界で25年以上にわたり、商品企画および品質管理に従事。タオルの製造にも精通し、これまで数多くの製品開発を手がけてきた。「タオルソムリエ」の資格を持つタオルのプロフェッショナルとして、専門的な視点から日常に寄り添うタオルの選び方やケア方法を分かりやすく解説している。

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